平成28年度 第3学期始業式 校長式辞

校長先生

継続的に学ぶこと
 第二学期末の終業式では、平成28年に学校として新たに取り組んだことと併せて、お二人の講師の講演に共通した「将来の夢」や「目標」についてお話ししました。そして、冬季休業は短い期間ですが来年つまり今年以降の目標を考えるようお伝えしました。
 将来の夢を実現するためには段階を追っての到達目標が必要になるわけですが、さらにその前提となることを考えてみてください。その前提となることとは、「なぜ、そのことを目指したいのか、なぜそのような夢を持つに至ったのか」を自らに問うてみてください。この自らへの問いを重ね自分自身の熱い想いの根源が何であるかを見極めることにより、「夢」や「目標」がより具体的な姿を現してくるでしょう。この夢や目標を実現するためには、たゆまぬ努力が求められますが、それを支える重要な基礎が知識や知恵でしょう。豊富な知識や優れた知恵が努力の適正な方向性を示し質を高めてくれるでしょう。
 私は、昨年の今頃から本校の重点課題として、「学力の向上」をいろいろな場面で重ねて訴えてきました。「学力とは何か」ということの定義を明確にしないままですが、生徒諸君の立場に置き換えれば「もっと勉強をして学力を伸ばそう」ということになります。そこで、その前提として勉強することについて、なぜ勉強するのか、なぜ勉強をしなければならないかということに立ち返って考えてみましょう。
 話を非常に単純化して考えてみます。先ず、1週間一切の飲食を断ち切ると私たちは、生命の危機に脅かされます。場合によっては死んでしまうかもしれません。しかし、1週間や10日程度勉強をしなくても死んでしまうことはありません。それでも、例えば、分数や小数についての理解がないと物を売買したり契約するときに、割引が正しくなされているか、金利の計算が正しいのかわからないでしょう。漢字を知らないと人前で読めない字に戸惑うこともあるでしょう。また、細かなルールをよく知らないでサッカーや野球の試合を見ても時々疑問を抱く程度でそれなりに楽しめるでしょう。ルールや戦術や選手の役割を勉強しなくても、解説者の言っていることを無視すれば何ともありません。勉強をしなくてもただ生きていくだけなら何とかなりそうな気がします。それでもいろいろな場面で恥ずかしい思いをしたり損をしたり、時には周りから馬鹿にされたりするでしょう。
 勉強をしなくてもすぐには死にませんが生きていくには相当苦しくなります。最低限の衣食住にも一定程度のお金は必要です。現代では勉強を積み重ねて膨大な知識を身に着けないとやりたい仕事も選べず、仕事の中で説明書を読もうとしても内容が理解できません。思いつくことは寂しいこと惨めなことばかりで、長い人生をそんな萎縮した落ち込んだ気持ちで過ごすのでは、とても人生の夢や目標の達成や日々の充実感は得られません。たった一度の人生をそんな生き方でいいのでしょうか。
 人生の夢や目標の達成を目指したり日々の生活に少しでも潤いや仕事の充実感を得ようとするならば、今の自分にないものを新たに身に着けようと努力するしかありません。この努力がまさに勉強をすることです。勉強をする中で、「分かった」、「できた」ということがその成果であり、次の課題に取り組むための原動力ともなり、「分かった」「できた」が成果の積み重ねの連鎖を引き起こしていきます。
 努力を数字に置き換えたときの分かりやすい例示として、1.01の法則というのがよく使われるようです。1.01(+1%)のような、ほんのちょっとした努力や成長でも、365日積み重ねると大きな成果となるということです。つまり1.01を365乗、つまり1.01を365回掛け合わせると約37.8になります。逆に、0.99(-1%)のように、ちょっとでもサボって積み重ねていくと、ほとんどできない人になります。先程と同じように0.99を365乗すると約0.03になります。片や37.8になりもう一方は0.03となりその差は1,260倍となっています。初めは、1.01と0.99ではたったの0.02(2%)しか違いませんが、その違いを積み重ねていくと1年間でも圧倒的に差が広がるという例です。これは極端な例示ですが仮にもう一ケタ小さい数字0.002(0.2%)の差で考えても、3年間では約8.4倍の差となってきます。積み重ねること継続することの成果の大きさがよくわかります。
 生徒諸君一人一人のこれまでの学習歴の違いにより、出発点は千差万別でしょうが今の自分の立ち位置から出発しようではありませんか。教室での勉強でも放課後の部活でも考え方は同じと思います。
 勉強、学ぶことの効用は、「分かった」「できた」の連鎖から始まりますがそれに止まることなく、さらに「もっと知りたい」という気持ち「新たな知への欲望」を引き起こすことです。この段階になれば勉強することが経済的な満足感の充足から知的な満足感の高揚へと発展していくでしょう。生きるための手立てとしての勉強から人生を充実させていくための学びへの深化と言えます。このように展開することで、人生の夢や目標の実現可能性が一層高まります。勉強すること学ぶことは、在学中だけのものではなく生涯にわたって続くことが求められます。勉強への取り組みを足掛かりに目指す目標や夢の実現に一歩でも近づけるよう、年の初めを機会に「今年は勉強も頑張るぞ」との決意を期待しています。