平成29年度入学式 校長式辞

校長先生

 椿、桃、海棠、レンギョウなど鮮やかな彩りの中、漸く桜が咲き始め本格的な春の訪れを実感できるようになりました。
 このような春のよき日に、大勢の御来賓をお迎えし、214人の新入生と保護者の皆様と、平成29年度の入学式を盛大に挙行できますことに、心からお祝いとお礼を申し上げます。新入生の皆さん、入学おめでとう。教職員を始め、皆さんの先輩達も晴れの入学を温かくお迎えします。
 本日まで皆さんの成長を願い育んでくれた保護者の方々は、高等学校での皆さんの充実感に満ちた3年間の生活を心から期待されていることと思います。
 そこで高校生活の門出に当たり、「学ぶことの必要性」と本校の教育方針についてお話しします。これからするお話しの前段は、先日の第3学期終業式で在校生にお話しした内容で、新入生の皆さんにもお話しすることにしました。
 文部科学省初等中等教育局高校教育改革PTリーダーの今井裕一氏は、昨年の全国普通科校長会で「学ぶことの必要性」について次のような要旨の講演をしました。
先ず、高校を取り巻く外的な環境として、国際的な競争が進む中、日本の立ち位置が厳しくなってきていることを挙げ、その背景としては、次のようなことを示しています。
 背景の第1は、我が国の国際的な存在感の低下、特に経済面についてです。例えば、世界に占めるGDP(国内総生産)は、2010年の5.8%から2050年の推計値では1.9%に縮小してしまい、3分の1になってしまいます。また日本のGDPについては、1993年頃に世界第2位の大国と言われた時期もありますが、2012年では、日本人一人当たりに換算すると10位まで下がっています。例えばDVDプレーヤーの製造、カーナビ、リチウムイオン電池などの世界の市場が急激に伸びている分野にも拘らず、その分野での日本の世界市場のシェアに占める割合が急激に低下しています。
背景の第2は、将来の仕事の在り方の変化です。米デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン氏が、2011年8月、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビュで語った予測で、『2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう』というものです。二つ目は英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授の、『雇用の未来―コンピュータ化によって仕事は失われるか』という論文の内容で、今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いと結論づけています。日本でも、野村総合研究所とオックスフォード大学の研究者の共同研究で、国内で働く人の約半数の就く仕事が10~20年後に人工知能やロボットに置き換えられるとの推計をまとめています。こうした推計から、私たちが今当たり前だと思っている職業の多くが今後なくなっていく可能性が極めて高いと考えられます。
 産業種別の総就業者数の変化の予測では、高校生の就業先として特に多い製造業・建設業が、産業構造の変化の中では非常に人を減らしている、若しくは先程の予測にあるように自動化・機械化が最も進んできます。今普通に働いている職種の中でも今後劇的に減ってくるものがあることが予測され、これまでと同じような進路の準備では対応できなくなるでしょう。
 社会が劇的に変化していく中で、あなた方はどうやって自分の人生を組み立てていくのか、そういうことをしっかり高校生のうちから考えられるようにしておかなければなりません。高校卒業後大学や専門学校に進学するか直ぐに就職するかに関わりなく、高校での3年間に問題意識を持って自分がどういう将来設計をしていくのか、将来どういう職業についていくのかイメージして考えていかなければなりません。その際、高校教育の質の確保をどうやって目指していくかが非常に大きな問題となり、高校教育が多様化しながらも共通性の確保、高校生に求められる基礎・基本をしっかりと身に付けることが必要となると結んでいます。
 この講演で指摘されたような社会的に大きな変化が進む中で、本校では学校の教育方針として次の3点を重視しています。
 第一は、学校生活における目標を持つことです。目標を持ち意識して毎日を過ごすか、漫然と目標のない生活を送るかでは3年後の卒業時の姿は大きく変わると思います。目標があれば苦しいときでも頑張りがきき、目標が自らを律する心の支えとなります。
 学習についてみれば、各教科の授業への取り組み、英語検定などの各種の資格の取得への挑戦、家庭での学習等、量や到達度、難易度等を自分に合わせて具体的に目標を決めてください。学習は勿論のこと進路の選択や部活動や生徒会活動などにおいても、明確な目標を持つことで大きな成果や資質の開花が期待されるでしょう。
 第二は、本年度の最重点課題である「学力の向上(高校教育の質の保証と向上)」です。学習に積極的に取り組み基礎学力を確実に身に着け、発展的な学習にも挑戦することです。生徒諸君にとって本校は本気で学ぶところであり、卒業後の進路が進学か就職かに関係なく確かな学力を身に着け、希望する進路を実現するための場でもあると認識することです。
 第三は、学校行事や部活動に真剣に取り組み思いやりの心を育て、社会性を身に着け広い視野で物を見る目を養い、卒業までの3年間で大人としての認識力や判断力、振る舞い方を身に着けることです。選挙権年齢が18歳に引き下げられたことも深い関係があります。
 214人の新入生諸君、教職員は諸君に対する深い愛情を基に、諸君をしっかり鍛え伸ばしていく所存です。諸君も私たちの篤い気持ちをしっかり受け止め、自らの秘めたる資質を十分磨きだすことに力を注いでください。在学中は、幾多の試練に直面することもあるかもしれませんが、その都度心を強く持ち乗り越えてください。そして、一人も欠けることなく214人全員が、3年後に晴れて本校を卒業していけるよう、諸君の頑張る心意気に期待します。諸君の頑張りが本校をさらに活性化させると確信しています。
 教職員一同心を一つにして教育活動に専念する所存であり、本校で教育することに誇りを持ち、学校、生徒、地域に強い愛着を持ち、併せて平成30年度から始まる男女共学化の準備も滞りなく進め、保護者の皆様や地域の期待に応えるべく全力を注ぎます。
 保護者の皆様におかれましても、学校の教育方針に深く御理解を賜り、学校が生徒の教育に専念できますよう、物心両面にわたっての御支援・御協力をお願い申し上げます。学校、保護者、地域の三者の厚い信頼関係が、お子様を育てる基となるものと信じております。
 最後に、御多忙のところ御臨席をいただき本日の入学式を盛り上げ、激励してくださいます御来賓の皆様、本当にありがとうございます。今後とも本校の発展のために御指導・御鞭撻をいただきますようお願い申し上げます。
 以上を持ちまして式辞といたします。